幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2008年2月号(チャイルド)」

昨年のこの時期のパル便りを見ると「暖かい冬です」と書いてあります。今年の冬は昨年に比べて寒いように感じます。この何年か手袋の必要性を感じた事はなかったのですが、今年は必須です。どうなんでしょう。これは揺り戻し という現象なんでしょうか?暖かくなって、少し寒くなってまた暖かくなって、そして寒くなって。。。でもいつか気付いたら冬が無くなっていた??とならないようにしたいものです。

 そんな訳で寒い冬であればなおのこと子ども達は外に出て体を動かすチャンスも減っているのでしょうね。休み明けは、子ども達の動作が心なしか鈍くなっているように思います。“休み明け”に限定するまでもなく、近頃の子ども体力は、運動能力はずっと下降傾向にあると言われています。これらの能力が下降しはじめた、1985年以降、子どもの遊びの調査をした結果テレビ、ビデオ、テレビゲーム等の「内遊び」が急激に増加し、反対にボール遊びや縄遊びのような「外遊び」の急速な減少が浮上しました。又、同時期に遊び環境を調査した結果でも外遊びから内遊びへの移行、遊び空間の減少、遊び方法の貧困等が報告されました。上記に関しては小学3年生を対象に行われましたが幼児については外遊びをよくする子には運動能力の低下は見られず、外遊びをする子ども達の減少が全体的運動能力の低下へと結びついているといえます。

 心理学的な立場から運動能力を捉えた場合、運動能力は運動コントロール能力と(運動)体力の二つから構成されているといえます。この運動コントロール能力は産出されたエネルギーを効率良く使う能力を指し、目的に応じて適切な体の動き方を引き出してくれます。この能力は主に中枢神経系の神経機能に」支えられていて幼児期から児童期に急速に発達する能力です。もう一つの(運動)体力は運動を実行するのに必要なエネルギーを産出する能力で、主として筋肉や心臓、肺などの末梢器官の働きによって支えられる青年期以降に急激に発達する能力です。この事からわかるように幼児期に育つのは持久力や筋力のような体力ではなく動きを引き出す運動コントロール能力と言うことになります。ということは幼児期の運動能力の低下は動きを引き出す運動コントロール能力が低下してきたことを意味します。幼児期は動きの獲得の敏感期といわれ、大人が持ち得る全ての基礎的運動パターンは生まれて6〜7年の間、つまり幼児期の間に獲得されるのです。ですからこの時期は一つの動きの繰り返しのような、ドリル的経験の繰り返しで動きの幅を狭めるのではなく、幅のある多様な運動経験を行っていくことが必要となります。その多様な運動経験をもっとも多く含んでいるのが「外遊び」という事になるのです、もちろんパルで形式、様式をサラリとひとさらいすれば良いわけではなく、さらに日常に応用し、より俊敏に動けるようにするのが、そうした機会を与えることが彼等の運動能力の基礎を固める道筋なのです。

 様々なシチュエイションを用意し、危険を回避する基本的な動作を体得させあとは有能感を持てるように子どもを励まし、までが私たちの仕事。その先にその身に付けた運動コントロール能力を遊びの中で磨きをかけてもらえれば本当の運動能力につながっていくのだと思うのですが。。。。