幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り8月号(チャイルド)

今年の梅雨は、どんなパターンを辿るのでしょう。先週一週間は梅雨の中休みだったそうで、一日中雨が降り続くことはなく、どちらかと言うと夕方に雷が鳴ってざっと一雨くるといった真夏の天気のようでした。水不足が懸念されている関東地方ですが、降って降らなくても気持ちは晴れませんね。湿度が烽「ので、水分の補給には気を配ってあげてください。

年中さんの造形の授業で、野菜を使った色水をつくりました。にんじん、パセリ、紫キャベツ、アメリカンチェリー、クチナシの実の5種類をすり鉢で潰して水を足し、ガーゼで漉して瓶に詰める。これだけの作業なのですが、これは年中さんには結構ハードなことです。この課題の目当てはもちろん、植物から色水が作れるということの発見にあり、参加した子どもたちは一様に驚きを持って目を輝かせます。しかしこの課題はそれだけに留まりません。どうして漉すのか、瓶にこぼさずに入れるにはどうすればいいのか、作業をするのにいちいちその意味を掴み目的をはっきり持って取り組まなければ、作業がスムーズに進まないのだということを学ぶことでもあります。
子ども達の中には色水ができるということも、一つ一つの作業もどちらも面白いと思って取り組める子もいれば、作業になると立ち往生をしてしまう子もいます。5回同じことを繰り返すわけですから、子どもは1回目より2回目、2回目より3回目と少しずつ理解を深めていくはずです。立往生をしてしまう子は、なぜそうなるのでしょう。

その原因を一つには絞れませんが、第一には何でも親にやってもらっている子に多いといえましょう。子どもが望んでそうしている訳ではありません。親が子どもの自律の必要性にまだ気がついていないのでしょう。第二には、自ら解決の道を探すという行為を持ってもらっていない子どもの場合です。試行錯誤の尊重より、強制的に知識を飲み込まされている子には、自発的に物事に取り組む力は養われません。日常の生活の中で試行錯誤する体験、自らの力で遂行しようとする主体性が養われていればスムーズに理解してくれるはずのことなのです。

「失敗は成功の母」とは、何も科学者や発明家のためにある言葉ではなく、むしろ小さな子供にこそ最も必要なプロセスなのではないでしょうか。子どもが目的を持って物事に取り組み、失敗してもさらにまたトライする。そのプロセスを親はどんな眼差しで見守ったら、どんな言葉掛けをしたら、どのように待ったらよいのでしょう。考える余地も与えられず「これは、こうしなさい」と言われたら、急かされて「ほら、こうやるのよ」と大人に手を出されてしまったら、その子に真の体験はありません。しかも「ああして、こうして…」と次々にやり方を支持されたとすれば、子どもは物の本質に迫る学習をしたという気にはなれないでしょう。

「覚える」という学習は、それはそれなりに必要なこともあると思います。しかし「覚える」ばかりをしていくと、何でも「覚えて」学ぶという回路ができてしまいます。子どもは経験が少ないので、自分で学習方法を修正していくことはできません。ワンパターンの学習を積んでいくとそのパターンから抜け出せなくなるおそれも出てきます。せっかく持っている潜在能力をパターン学習で蓋をしてしまっては何とももったいない限りです。

授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。