●2008.8.6. Vol.76 合宿始末記
今年の合宿も無事終了しました。事故も無くみんな元気な顔で帰ってきました.お迎えの時お母さん方に、余力があったら始末記を書きますと申しました.お約束なので、今回はイベントについてお話ししようと思います。お子さんはお家に帰ってどんなことを話したでしょう。「地底人」の話しが出ましたか ?
もしそんな言葉があったなら、其れこそそれがイベントの話しです。
パルの合宿では、毎年必ずイベントを行います。イベントの種類は勿論パルならではの内容で、架空の物語に沿って子ども達が冒険していくというものです。今年は例年と少し趣を変えて、1日目からうわさ話をばらまくことにしました。勿論うわさを撒くのは先生。一人で合宿所の敷地内を歩いていて見慣れない「何か」が視界をよぎった、と複数の先生が口にします。一人一人言うことが違うのですが、要は不思議な生物が逃げていったといううわさです。そのうち子ども達も「私も見た ! 」「僕も見たよ」と言い出しました。子ども達の言うこともまちまちで、先生の話と自分の空想が入り交じった話になります。
見てもいないものを見たなんて、それは虚言癖でしょう、と言うなかれ !
子どもは空想と現実に線を引くのが難しく、思ったことが現実と置き換えられるのは、よくあることなのです。だからこそファンタジーにものめり込めるわけで、子どもの特性なのです。大人になるにつれ経験と理屈が空想と現実を分けて考えるようになり、かえって空想することが難しくなります。空想する能力を保持し続けることのできる大人も、中にはいますが・・・ちなみに宮崎駿さんは空想の産物をキャラクターにお話を作るって行くわけですが、ひとたび人格を得たキャラクターは、彼の中で実在の人物として成長していくそうで、
トトロのメイとさつきはもう成人しているのだそうですよ。
話を元に戻します。イベントは二日目の午後に行われるのですが、うわさ話はそれまでに熟成し、みんなの気持ちは「地底人」探しに一直線。全員で探検に出て、地底人からの手紙を見つけ、地底人の依頼をかなえるべく、暗号探しに奔走し、暗号を発見したうえ謎解きまでして、無事地底人のお役に立つことができました。
次に挙げる文章は、地底人からの手紙です。これをお読み下さると、だいたいの筋が見えると思います。
―――お願いです。私たちを追いかけないで下さい。ましてや、捕まえたり等は絶対にしないで下さい。私たちは地底人です。大切な使命を果たしに地上にやってきました。今地底では大変なことが起こっています.皆さんは地球の真ん中がどうなっているか知っていますか。地球の真ん中は熱でドロドロに溶けたマグマというものでできています。このマグマが余り熱くなり過ぎると火山が噴火したりして、地上に大変な被害を与えます。私たち地底人は、マグマが熱くなり過ぎないように、冷え過ぎないように、毎日さましたり,暖めたりする仕事をしているのです.冷え過ぎると皆さんは温泉に入ることも出来なくなるのですよ。マグマがさめてくると私たちはマグマに燃える石を放り込んで、地底に住む竜に火を吐いてもらい、マグマを熱く真っ赤にします.けれどついこの間、流に火を吐いてもらう時に、えさをやり忘れたまま火を吐くよう命令してしまったのです.其の結果,竜は怒って火を吐き続け、どんなに止めようとしても止められなくなってしまいました.このままではマグマが爆発して、火山の大爆発が起こってしまいます.其の前に何とか竜に火を吐くことを止めさせなければなりません。私たちは竜の口に雪の固まりを突っ込んで火を消そうと思い、浅間山の万年雪を探しにきました.
地底と地上の境目には、丈夫な扉があって、これが出入り口になっているのですが、簡単には開かないように、暗号を唱えなければあけられないようになっています。私たちはこの扉を出てくる時に暗号を書いた紙を持ってきました.
しかし浅間山の万年雪を探している最中に落としたのか盗られたのか暗号の書いてある紙を無くしてしまいました.暗号は 7人で一字ずつ分けて持っていたので、紙は7枚ありました。其の紙を全部そろえて意味が通じるように並べ替えて、初めて暗号になります.私たちも必死で探していますが、もう時間がありません。私たちを助けると思って、暗号の紙を探してはもらえないでしょうか。――――
今回は、先生がキャラクターに扮する等ということがなかったため、いつも以上に真実みがあり、子ども達はイベント終了後も痕跡探しに夢中になっていました。ハリー・ポッターの冒険の幼児版のような世界でひとときを過ごしたわけで、こんな経験をすることも子どものこころを豊かにしてくれるのではないかと思います。この情報を基にすれば、子どもの話もよく理解して頂けるのではないかと思います。
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