幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2012年度 7月号(チャイルド)」

 梅雨に入り、梅雨寒と蒸し暑さを数日置きに繰り返している毎日です。体調を整えるのが難しい状況ですね。お子さんの体調に気を配って下さい。

 最近の調査では、近頃の子どもは年少入園時点で仮名文字51音全部が読める子どもが全体の2割くらいいるそうです。興味の中で自然学習をした子もいれば、学習させられた子どももいるでしょう。一方、その他の子どももその大半が年中後半から年長の終わり頃までには読めるようになります。この群の子どもはお勉強と云う形より,意識せずに覚えてしまったと云う子が多いようです。学校に行ってからの子ども達の習熟度についてのデータ(お茶の水大元副学長内田伸子氏)の示す数字は、子どもが文字を早く読めるかどうかが幼児期の子どもの生活において持つ意味は余り大きなものではないことを示しています。文字に限らず,数やその他の学習に関しても、子どもは新奇なものには興味を持ちますから,どんどんやり方を覚えますが、それが彼等のその時の生活にとって本当に意味を持ったものでなければ、忘れるのも早いし、思い出そうとしても上手く使えないと云うのが実際のところだと云うことです。

 子どもが喜んでやるのなら、いわゆる早期教育をやっても良いのでは、と思われる方もいるでしょう。が、しかしここで注意しなければならないことは、いわゆる「早期教育」によって子どもは知識内容や技能だけでなく、「学び方のスタイル」、学習感も暗黙の内に学んでいるということです。ある価値観に基づく教育は、実は別の価値に基づく教育を選択する可能性を失うことになると云う視点を、見落としてはならないと考えられます 。

 最近,有名幼稚園・小学校の芳しくない内情が伝わってくることがよくあります。
在籍児童の学力レベルが高いことのみが学校(幼稚園)にとって必要なこと、と思われる様な対応を取っているようにしか見えないやり方が聞こえてきます。公立校でそんなことがあったら即座に叩かれる様なことも、閉ざされた組織の中では容易に隠すことが出来ます。子どもの学力を支えるのは学校外、等と云うことが当たり前になっている様な私立校もあり、ではその学校の価値はどこにあるのだろうと首を傾げたくなります 。

 本来公立校と私立校は、互いに切磋琢磨することで良いバランスを保たなければならない関係にあるべきだと思います。しかしそのバランスが傾いている為に、切磋琢磨の必然が成り立たなくなっています。そこに少子化が加わって、競争は私立校間でのみ
激化していると云う危険な状況にあることを、私達は知っておかなければならないようです。