幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2009年11月号(チャイルド)」 

気持ちの良い気候が続いています。新型インフルエンザの心配さえなければ良いのですが。流行はどこまで続くのでしょう。まだピークを過ぎたとは云えず増々拡大しているように感じます。大人の人たちは一週間もすれば元気になるようですが、重症化しないかが心配になるところです。子どもに多いインフルエンザ脳症は解熱剤との関連があると聞きました。子どもに与えてよい解熱剤は限られているそうで、間違っても大人の解熱剤を量を減らして与えるようなことはしてはいけないそうです。とにかく早めに医者に見せて、医者から処方された薬を使ってくださいね。

 さて、パルでは作品展がありました。絵について少し説明しておきたいことがあります。絵を描く素材は、「見たものを描く」と「想像して描く」があります。
 目の前に見えているものを描くことは年少さんは年少さんなりにニワトリも確認しながら描くことができます。もちろん印象の強い部分が誇張されて表現されるので、大人から見ると「本当に観察しているの?」と云いたくなったりするでしょうが。年中になってもまだこの傾向は残りますが、大分統合が進み、年長になるとかなりの観察眼を持つに至ります。「にわとり」や「観察画」を見ていただくとよく分かると思います。

 対して「想像画を描く」はどうでしょう。「想像して描く」は又、空想画(自由画)と「お話の絵」のようなものに別れると思いますが、こちらは視覚に頼って描く、見たものをそのまま描く、と異なり、かなり言語力、思考力、記憶力が問われます。年齢によって少しずつ発達していくわけですから、私共もカリキュラムとして子どもに渡す時は、注意深く、彼等の年齢に応じた能力を著しく逸脱しないように考えながら進めています。今年、年少さんで取り上げた「チビクロサンボ」では、子ども達は「サンボとトラ」という象徴的な2つのキャラクターを描くことで全て完結という表現がほとんどで、出てきたトラの数4頭を描く子もいましたが、4等のトラが勢ぞろいする場面を描いている(木の周りを回っている)という強い意識はないようです。
  この年令的な伸びと云う流れとは別に、そもそも子どもはお話に興味を持ち、お話の世界に浸る体験をしているのかを考えなくてはならないと思います。年中、長児に好きなお話は何?と聞いてもいわゆる私たちが考えるお話の題名が全ての子どもから積極的に出ては来ませんでした。彼等の興味はお話の本よりもテレビやアニメのキャラクターの方にもっぱら寄りがちというのが実情のようです。それも子どもの特質でしょうから否定はできません。あんなに子どもの前に頻繁に露出するのですから、引き付けられるのは無理もないことかもしれません。しかしテレビやアニメのストーリーは、それほど明確に脳裏に焼き付く、といったものではありません。要素がぎゅっと詰まった話と云うより、ダラダラと続くテレビドラマといった感があり、ストーリーを追憶することも難しいのでないでしょうか。とすればお話の本をくり返し味わってそのイメージを自身の中に定着させるという作業をテレビアニメに求めるのは難があります。お話の持つ大切な力を是非見直してみてください。子どもの心の内に熟成するストーリー、目に浮かぶ場面を是非持たせたいものです。