幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより8月号 リトル/チャイルド

 ひと頃の暑さも少し和らぎました。梅雨明けの発表がちょっと早すぎたようで、平年並みの7月下
旬に本当の梅雨明けがあるのでは、と思っています。けれどそれを過ぎるとまた猛暑日が続くので
はと、ちょっと恐怖を感じます。恐怖は漠然と感じるだけでなく、もしイベント実施の日が35℃
を超えるようなことになると、熱中症対策等どのように対処すべきか、そもそも危険と判断して順
延もしくは中止にしなければならないのか、判断に悩むところです。子どもたちのためには、是非
とも実施してあげたいと思うのですが。
 ところで、皆さんは猪子寿之という人をご存知ですか? 彼はチームラボという企業集団の代表
を務めている人です。そしてチームラボは2018年6月にお台場にデジタルアートミュージアム・
チームラボボーダレスを作りました。その一部分にフラッグシップとしてチームラボアスレチック
ス「運動の森」が作られています。そもそもチームラボボーダレスは、60ほどある作品が移動し影
響しあい混ざりあいながら、境界の無い形で繋がっている一つの世界です。その中を人々は自分の
意思のある身体で探索します。デジタルな光と形のアート作品は時間と共に移ろい変化するので、
ゆっくりと変わっていく世界を探索し、そこでいろいろなことを発見していくというのがコンセ
プトだそうです。その中に「運動の森」が併設されているのですが、この施設はすごく意図的に具
体的に作ったそうです。複雑で立体的な空間を自分の体を使って探索することが、空間を認識する
脳の中の海馬を大きく成長させるということが近年分かってきたということで、そういう研究論
文もたくさん出てきているそうです。ネズミを使った実験では、立体的な空間で生活させたネズ
ミと平面で生活させたネズミでは海馬の神経細胞の数に4万倍の差があり、海馬の体積は15%違
うという結果が出たそうで、人間の子どもも自分の体で複雑な空間を探索すると海馬が発達し、
それはある種の先天的なものよりもはるかに影響が大きいのだそうです。一方で子どもの戸外活
動はすごい勢いで減っています。自然の川や森・山、これらはすべて立体の塊ですが、それを自分
の体で探索する機会が極めて少なくなってきています。都市には平面しか存在しない、と考えた猪
子さんたちはこのような施設を立ち上げたのだそうです。
 猪子さんはさらに言います。「日本は子どもたちにいっぱい詰め込んでいるけれど、そういう勉
強をすれば賢くなるわけでもなく、日本は世界でいうと教育水準が低い。フィンランドは教育水
準が高いとされていて、できるだけ子どもは外で遊んだほうがいいという考え方が根付いている。
こうした立体空間を探索するすることで脳が発達し、知的好奇心があれば、人は勝手に賢くなっ
ていく。そのほうが子どもたちにとっても社会にとってもいいと思う。大人になって自分らしく生
きていく為にも、子どもの頃に体を使って立体的なところで遊ぶこと・体を使って世界を把握して
いくことがきわめて大事だと思う。」
 このインタビューを私はたまたま目にしたのですが、そこでハッと気づいたのは、パルをやっ
てきたことで感じていることと一緒だという事でした。体が空間を認知することは、空間的発想
が豊かになることにも繋がっているはずです。活発な男の子は立体工作に強いけれど、おとなしい
女の子は同じ立体工作をさせてみても平面的な思考から抜け出せない。体の認知と脳は繋がって
いるという実感です。男の子も女の子も関係なく思う存分体を動かしたら、さまざまな恩恵を手
に入れることができるのではないでしょうか。ちなみに今回の森林公園行きは、猪子さんが推奨
する自然のなかでの活等に最も適した場所です。今回参加されなかった人も、個人でお出かけされ
てはいかがでしょうか。
 もう一つ、チームラボボーダレスは2022年8月31日をもって閉園となります。理由はお台場パ
レットタウン自体が再開発の対象になったからです。(チームラボボーダレスはパレットタウンの
中にあります。)しかし、このことでこの施設が無くなるわけではなく、2023年に都心に新たな施
設が誕生するそうです。お台場の施設の入場券はこれからでは入手困難かも知れません。豊洲に
もチームラボプラネッツという施設があります。こちらは今、7-8月のチケットを販売しているそ
うです。     

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