幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより11月号 リトル/チャイルド

 急速に秋が深まっています。まだ当分、昼間は20°cを超える日もあるかと思いますが、朝晩は
グンと冷え込みがきつくなっています。1日の最高気温に照準を合わせるのではなく、朝晩の温度
にも気を配り、衣服の調節をしてください。
−−−−子育て相談などを通じて最近感じるのは、我が子に苦しまず、悲しまず、困難に出会うこ
となく、何でも出来る良い子に育って欲しい、という完璧主義の母親が多くなってきたことだ。
この背景には、我が子が失敗するのは親が失敗しているような恥ずかしさを感じていることがあ
ると思われる。それが嫌で、我が子の行動全てにお膳立てをし、失敗しない様に先回りをしてし
まうケースが多いのだ。子どもは物事全てを体験して理解していく。幼児の場合、最初は全部失敗
するから、失敗を通して知恵を身につけていく。危ないからと親が先回りしては、子どもの生き
る力を奪ってしまう。大人が指示命令をすれば、言われた通りに出来る子にはなるが、ただ大人
に従っているだけで、何の力も身に付かなくなる。私は、幼児期は失敗するためにある、と考え
ている。(後略)−− 生活保育実践研究会代表の本吉園子さんの文章の抜粋をお読みいただきまし
た。
 脳は学習によって知識の情報処理と価値判断の神経回路を作り出します。それによって価値基準
の記憶を作ります。五感を通して得られた外部からの情報は、脳の価値基準に照らして処理され、
言葉として表出されます。その表出された言葉に対する周囲の大人などの反応によってさらに脳の
知識と価値基準が修正されます。人間の脳は経験によって学習します。子どもの成長にとっては、
「経験」が極めて重要だということです。親は自らの脳に作られている判断基準を子育てに当てて
います。子どもの時に苦労した経験を持つ人が、親心から子どもに苦労を避けさせたいという願
いに傾くと、子どもの経験を狭める結果となります。何々が出来ない、と我が子に感じるのは、
大人が既に培っている価値基準に基づいた感じ方です。それをそのまま子どもに要求するのは意
味がありません。子どもは大人と同じ価値基準を持つに至っていないからです。そしてその溝を埋
めていくのは、様々な経験だということです。
 「失敗することを許さない」環境で子どもを育てることは、彼らに様々な弊害をもたらしま
す。体操で新しいことに出くわすと、失敗を恐れてか ”あれは嫌だ” “これはやらない”と逃げる子
がいます。体を動かすことが気持ち良くて、じっとしていなさいと言われても自然と体が動いてし
まうのが幼児なのに・・評価をされると思うと、気持ちが落ちていく。造形でも、どんな絵を描
くことが正解なのかを見定めるまで手が動かない子がいます。絵に正解なんて無いのに、一体ど
この誰が「正解」を作り出しているのか・・挑戦したい気持ち、描きたい心、そのような意欲の
育ちを無視することは、1人の人間の将来にどんな影響を与えるでしょう。
 又、全てを受け入れ過ぎて、子どもの依存心・わがままを助長させている例もあります。子ど
もにはどこまでが許されて、どこからは許されないのかといった基準もまた必要です。何でも許さ
れるということは、全てを任されているのと同じで、適正な依存が出来ないため不安が大きくな
る結果となります。それに苛立って、益々訳のわからないことを言って困らせる。こんなパターン
はよく見かけます。どのみち、子どもの一挙手一投足に注目しすぎる子育ては、彼らにとっても息
苦しいものになっているはずです。
 最後に、見学日のお父さんのアンケートから、素敵な一言を紹介します。
『うちの子には、社交性をもっと持ってもらいたいですが、色々欲しがり過ぎになってしまいま
すので、子どもなりに頑張ってくれればそれで充分です。』

授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。