幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより9月号 リトル/チャイルド

 いつまでも暑さが治まらない今年の夏です。そして驚くのは突然の豪雨! 先日はついに東京都心が豪雨に襲われ、港区では記録的短時間大雨情報により1時間に100ミリの雨が降ったと伝えられました。パルの周辺でも翌日の午前中に視界が閉ざされるような大雨が降り、ベランダで活動していた2歳児は、雷の音に一瞬固まっていました。地下鉄の駅が浸水したり、アンダーパスに車が沈んだり、マンホールの蓋が飛んだり、普段とちがう状況に突然襲われます。身を守る心がけが求められる昨今です。

 ところで幼児にとって「自立」とは、どういうことを指すのでしょう。子育ての究極の目標は「自立」です。子育てにこれ以上の目標は存在しません。でもいきなり「自立」と言われてもピンときませんよね。「自立」は究極の目標。そこに向かってどう進んでいくか、を考えたいと思います。未就学児では、特に4歳から「自立心」が芽生える、と言われます。ただ、もっと前からその前触れの行動は起きていますよね。2歳児の行動の中にも「自分が」「自分で」といった自己主張が頻繁にみられます。この気持ちを「気まぐれ」にしてしまうか、「自立心」に繋げられるかは、親次第と言えます。「幼稚園教育要領解説」には自立心について次のように記載されています。目的: 自分の力で行うために思いを巡らし、自分でしなければならないことを自覚して行い、諦めずにやり遂げることで満足感や達成感を味わいながら、自信を持って行動するようになる。では、自立心を育てるためにはどのような取り組みをすればいいのでしょう。

 つい先日の朝、私は家を出てパルに向かうべく人通りの多い道へ差し掛かりました。右手から坂道を登ってきた親子3人が目に入りました。女の子は保育園に行くのでしょうか、通常の荷物を右手に持ち、左手にはプールバッグを持っていました。女の子は両親に少し遅れ気味になりながらも、口をぎゅっと結んで一生懸命歩いています。すでに坂道は終わり、平坦なところまで辿り着いていました。そこで振り返ったお父さんが突然「カバン二つは重たいだろう。パパが一つ持ってあげるよ。」と言いました。女の子は「うん、持って。」とは言いません。そのまま先へ進もうとしています。するとお父さんは「まだそんなに重たいものを持つのは無理だよ。かわいそうだから持ってあげる。」といって無理やりプールバッグを取り上げました。

 この状況をつぶさに見て、私はとても残念な気持ちになりました。本当に荷物が重いなら、坂道を登る前に協議すべきです。そして大人の判断ではなく、子どもの意志を尊重すべきです。お父さんは子どもの格好を見て、世間体を気にしたのでしょうか。気まぐれに子どもに憐憫を感じたのでしょうか。プールバッグに入っているものの重さを推量するに、幼児にも持てる重さであることは明白で、ただ両手が塞がっているので歩きにくいことはあるでしょう。それでも彼女は頑張って坂道を登り切ったのです。お父さんがかけるべき言葉は「よく頑張ったね」ではないでしょうか。付け加えるとしたら「保育園まで頑張れる?」でしょうか。子どもの自立心を先に進めるのは、親の「自律」です。子どもの荷物を親が持ってしまうことは、親が自分を律していない瞬間なのです。子どもの姿を見て「大変だから持ってあげよう」と思うことは、自分の優しさだと思ってはいないでしょうか。それは、こどもの「自立」という視点で考えると、本当に優しい行為なのでしょうか。本当の優しさはこの場合「この子が荷物を持つことを体験していることが、自立への道なのだから、見守ろう」と考え、そして、出来たことを評価してあげることではないでしょうか。評価するのも簡単ではありません。「すごいね」「えらいね」といった、何を評価しているか不明の言葉掛けではなく、「少し前までは出来なかったことが、出来るようになったんだね。大きくなったね。」と子どもの成長を認めてあげる言葉掛けが適切だと思います。

 「自立心を育てる」の真逆の行為が、マイナスな言葉を使って子どもを従える行為です。押しつけや無理強いをすると、大人の言うことが正しいと思い込み、自分で考えることをしなくなり、意見を言わない子に育ってしまいます。

授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。